Powder はもうありません。7年を経て、チームはこれ以上アプリを支えきれないと告げ、更新されないようサブスクリプションを解約し、年額プランの残りを返金しようとしました。このページは、それで行き場を失った人たちのためのものです。Powder とは何だったのか、実際に何が起きたのか、ここからどこへ行くのか。そして今回のことが、背後に会社を必要とするツールについて何を証明し、何を証明しないのか。
いま powder.gg を開いても、製品サイトは出てきません。ドメインは、Powder のコミュニティに宛ててチームが署名した文書へリダイレクトされます。そこには、資金をぎりぎりまで引き延ばしたと書かれ、彼ら自身の言葉では、 「これ以上アプリを支えきれない」とあります。その日からアプリは更新も保守もされなくなりました。継続中のサブスクリプションは、更新されないように解約されました。年額プランについては、可能な範囲で未使用ぶんを返金するよう努めると述べ、それがかなわない場合についてはあらかじめ詫びています。
これを喜ぶつもりはありません。あるチームが7年かけて、人に好かれるものを作り、資金が尽き、選べるなかでほぼ最善のやり方で電源を落としました。全員に知らせ、課金を止め、返せるぶんを返し、礼を言う。これよりずっとひどい畳み方をする会社はいくらでもあります。このページがあるのは、回っていた手順を一晩で失った人たちが、いま行き先を探しているからです。私たちにできる役に立つことは、そこを正確に書くことだけです。
Powder はウェブサイトではなく、Windows のデスクトップアプリでした。負荷の軽い画面録画機能を自前で備え、録画や配信からハイライトを自動で見つけ、縦型のテンプレートに合わせて切り、字幕を作り、モンタージュまで組み立てました。対応ゲームの幅は広く、まわりのコミュニティも本当に活発でした。仕事の流れがいきなり消えてこれを読んでいるなら、置き換えるべきものの大きさはそれです。いま名乗りを上げているツールの多くより、ずっと広い。
ほかのどれより効いてくる一点があります。このページが、見た目どおりの安直な売り込みにならない理由でもあります。 Powder は解析を、あなたの手元のマシンで走らせていました。 自社サイトには、このソフトは Windows のPC上で完全にローカルで動くよう設計されている、と書かれていました。ユーザーが投げ込むプレイ時間のぶんだけクラウドの計算費用を抱えずに済むように、というのがまさにその理由です。Powder Pro はさらにその方向へ進み、AMD のハードウェアとそのニューラル処理ユニットに合わせて、プレイしながらリアルタイムで処理できるよう最適化されていました。
つまり Powder は、電源を切られたクラウドサービスではありません。ローカルで動くアプリで、それを作った会社の資金が尽きた、ということです。
ここで都合のいい理屈は勝手に組み上がります。クラウドのツールは取り上げられる、だからローカルのものを買え、と。ですが Powder はその理屈を裏づけません。裏づけるふりをする売り手は、まさに疑うべき相手です。Powder はローカルで動いていて、それでも終わりました。会社が潰れることへの保険として「ローカル」を売る相手は、存在しないものを売っています。
本当に言えることはもっと狭く、それでも正確に押さえる価値があります。終了がどれだけ痛いかを決めるのは、そこだからです。
同じ物差しを、私たち自身に向けます。 CutBench もこの話の外にはいません。こちらも会社で、会社は止まります。CutBench のうち、ローカルでない部分は2つ。ライセンスの認証は Steam を通りますし、TikTok や YouTube への投稿は各プラットフォームの API を通ります。API は、私たちがいようがいまいが変わっていきます。開発が止まったときに古びるのは、この2つです。あなたが実際に買っている部分、つまり処理そのものは、どこも呼び出しません。文字起こし、検出、順位づけ、トリミング、字幕の焼き込み、書き出し。すべて自分の PC の中で、ディスクにあるファイルに対して走ります。インストール済みのコピーが続けられるのは、そこです。あとから境目に気づくより、いま期待値をそろえておきたいと思っています。
| CutBench | Powder(当時) | |
|---|---|---|
| 状況 | Steam で販売中 | 終了 · 保守なし |
| 解析が走った場所 | 自分のPC | 自分のPC |
| プラットフォーム | Windows 10/11 | Windows |
| ハードウェア | NVIDIA、VRAM 6 GB、CUDA 11.8 以上 | Windows のPC · Pro は AMD XDNA NPU 向けに最適化 |
| 支払い方法 | $34.99 買い切り | ゲーマーは無料 · プロと組織は有料サブスクリプション |
| 内蔵の画面録画 | — | あり(自前のネイティブ録画機能) |
| 見どころを自動で探す | あり · 順位つきの一覧 | あり |
| 縦型の書き出し+字幕 | あり · 焼き込み | あり |
| モンタージュ | — | あり |
| 直接投稿(TikTok / YT) | 対応 | 未確認 |
| 提供元が止まったら | インストール済みのコピーは手元のファイルを処理し続ける | サブスクリプションは解約 · アプリは凍結 |
Powder についての記述は、Internet Archive が2026年3月15日に保存した同社サイトと、チームの別れの手紙によります。どちらも2026年8月14日に確認しました。Powder の価格はあえて引用していません。価格ページはサイトごと消えており、こちらで確かめ直せない数字は載せないからです。空欄は、その機能が提供されていなかったという意味で、出来が悪かったという意味ではありません。「未確認」は文字どおりの意味で、推測で埋めずにそのまま残しました。
録画をまるごと CutBench に渡して、あとは走らせたままにしておきます。セッションを最後まで読んで、投稿に値する瞬間を強い順に並べるので、6時間遊んだ夜も、頭から送って探すタイムラインではなく短い一覧になって返ってきます。クリップはどれも、見せ場まで切り詰められ、9:16 に切り抜かれ、字幕が焼き込まれ、フックが付いた状態で出てきます。
この分野はここが曖昧なので、はっきり書いておきます。 処理のどこにも文字認識はありません。 CutBench には対応ゲームの一覧がなく、特定のタイトルについての特別な知識もありません。何がある瞬間を投稿に値するものにするのか、どのゲームでもそこを見ています。何かが積み上がり、何かが起きて、そこで決まる。まったく形の違う2つのセッションについては、 Rust と ARC Raiders のページに書いています。
はい。2026年8月14日に確認した時点で、powder.gg は製品サイトを返しません。「To the Powder community」と題された文書への恒久的なリダイレクトが返ります。そこでチームは、7年を経てこれ以上アプリを支えきれないこと、今後は更新も保守も行われないこと、継続中のサブスクリプションは更新されないよう解約していることを述べています。
2026年です。ただし特定の一日ではなく、期間しか示せません。別れの手紙に日付がないからです。Internet Archive には、ダウンロードボタンまでそろった通常の Powder のホームページが2026年3月15日まで残っており、手紙へのリダイレクトが最初に記録されたのは2026年7月5日です。第三者の投稿のいくつかは終了を2025年9月としていますが、一次情報では裏が取れず、アーカイブの記録とも矛盾します。ですから、実際に確かめられる期間のほうを示しています。
手紙によれば、継続中のサブスクリプションは更新されないよう解約され、年額プランの人には未使用ぶんを返金するよう努めるとされています。ただし、すべての場合に可能とはかぎらないという断りも付いています。返金されるはずなのに受け取っていないと思うなら、それはカード会社かアプリストアに相談する話で、私たちの扱う話ではありません。
CutBench がそのひとつです。Windows のアプリで、録画を読むところから仕上がったクリップを書き出すところまで、ひと続きの作業を自分の PC の中で行います。映像がドライブから出ることはありません。サブスクリプションではなく、Steam で一度買うかたちです。ただし、そっくりそのままの置き換えではありませんし、ハードウェアの条件で Powder ユーザーの多くは対象から外れます。
いいえ。CutBench には、VRAM 6 GB と CUDA 11.8 以降に対応した NVIDIA の GPU が要ります。AMD 向けの経路も Intel Arc 向けの経路もなく、macOS 版も Linux 版もありません。Powder Pro は AMD のハードウェア向けに最適化されていたので、その利用者のなかには、まさに CutBench が動かない構成の人がいます。もしそうなら、正直な答えはブラウザで使えるツールです。起動しないものを売りつけるより、そう言うほうを選びます。
ありません。Powder は負荷の軽いネイティブの録画機能を自前で備えていましたが、CutBench にはありません。CutBench は手元にあるファイルから始めるので、いま録画に使っているものをそのまま使い続けられます。録画ツールでも、GPU メーカー付属の録画機能でも、ダウンロードした Twitch の VOD でもかまいません。
作っている会社が止まることは、どの会社とも同じようにあり得ます。違うのは、それがあなたにとって何を意味するかです。あなたに代わって解約されるサブスクリプションはありませんし、処理そのものはサーバーを呼びません。ですからインストール済みのコピーは、ファイルをクリップに変え続けます。ローカルでない部分は2つ。ライセンスの認証は Steam を通り、TikTok や YouTube への投稿は各プラットフォームの API を通ります。開発が止まれば古びるのはこの2つで、守れない約束をするより、そう書いておくほうを選びます。
いまのところ無料のデモはありません。CutBench は Steam での $34.99 の買い切りで、返金については Steam の規定が適用されます。
ここに来た経緯を思えば、そこは効いてきます。CutBench は一連の処理をすべて自分のPCの上で、自分の映像に対して走らせます。ライセンスには、誰かが解約できるような更新日がありません。Steam で一度だけ買ってください。